施設等拡充支援事業

静岡県総合教育センター教育主幹 鈴木真一

 

 静岡県総合教育センターでは、理科の研修等において電子顕微鏡を活用しています。この電子顕微鏡は、公益財団法人はごろも教育研究奨励会からの支援を受け、平成22年から無償で設置・活用をさせていただいているものです。

 設置されている「走査型電子顕微鏡(SEM)は、学校の理科室にある光学顕微鏡に比べはるかに高い倍率での観察ができるだけでなく、観察試料の表面にある複雑な凹凸を観察することができます。理科の研修ではできるだけ多くの先生方に電子顕微鏡画像を紹介していますが、はじめてそのリアルな画像を見た先生方からは「おお、すごい」「こんな構造になっているとは知らなかった」といった驚きの声がしばしば聞かれます。

 当センターでは、電子顕微鏡で撮影した画像をウェブページにアップしており、これらの画像を理科の授業で活用することを通して、子どもたちの理科に対する興味・関心を高めるに役立ててほしいと呼びかけています。

 一昨年度までは希望する先生方に対し、電子顕微鏡の構造や原理に関する講義、試料作製、操作の体験等、より専門的なプログラムの研修も行っていました。このような研修を通して、高等学校の物理、化学、生物、地学の各授業において、さらなる多面的なアプローチが可能となっていきます。例えば、物理の授業における電子の波動性に関する考察等が挙げられます。

 また、先生方に対する研修だけではなく、高校生に対する体験活動にも活用をしています。体験活動では、高校生が観察したいサンプルを自分で用意し、電子顕微鏡の仕組みの学習の後、試料の観察、写真撮影等の活動を行います。体験した生徒の電子顕微鏡画像に対する感動や驚きの様子から、その教育成果が感じられます。

 当センターでは、子どもたちの理科に対する興味・関心や主体的に学習に取り組む態度の育成を支援するため、これからも電子顕微鏡の活用を継続していきたいと思います。

 最後に、電子顕微鏡の設置・活用における、公益財団法人はごろも教育研究奨励会からの長期のご支援に対しまして、改めて感謝申し上げます。

(はごろもの風 2019.秋号 リレー随筆より)

 

 

 

 

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