令和元年度 第19回助成賞授与式 受賞の喜び

「共生社会の構築を支える特別支援教育のセンター的機能をより充実させるための取組~小・中学校及び高等学校との連携(地域支援)と教員の専門性の向上~」に関する研究

受賞者代表 静岡県特別支援学校長会 会長 山﨑 勝之

「第19回はごろも教育研究助成賞」を受賞するにあたり、受賞者を代表してお礼の言葉を申し上げます。

 

本日ここに「はごろも教育研究奨励会」理事長 後藤康雄様より栄えある賞をいただき、受賞者一同、身に余る光栄に存じます。また、静岡県教育委員会教育長 木苗直秀様をはじめ、御来賓の皆様の御臨席を賜り、お祝いの言葉をいただきましたことに、感謝申し上げます。今、喜びもともに今後への責任と使命を心しているところです。

 

平成19年4月、改正学校教育法の施行により、全ての学校において特別支援教育を実施することが明確に規定され、今年で13年目を迎えます。同年に発出された文部科学省通知には、特別支援教育に関する3つの理念が掲げられています。まず、自立や社会参加に向け、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導と必要な支援を行うこと。次に、特別支援教育は全ての学校において実施されるものであること。3点目には、特別支援教育の推進は、障害のある子どもの教育にとどまらず、共生社会の形成の基盤となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要ないみを持つ、と謳われています。これらの理念に迫るには、教職員の人材育成と特別支援学校による地域支援が不可欠だと考えます。

 

少子化が進む一方で、特別な支援を必要とする幼児児童生徒は、年々増加傾向にあり、全ての学校種で、個々の教育的ニーズに応えうる、教員の専門性向上が大きな課題となっています。地域における特別支援教育のセンター的機能を担う特別支援学校においても、教職経験の浅い教員が大きな割合を占めています。そこで本研究では、静岡県教員育成指標を参考に、授業力、生徒指導力、教育業務遂行力、組織運営力に関する困り感について調査・研究を行い、その結果をフィードバックして人材育成へとつなげます。

 

地域支援に関しては、連携強化、理解促進の2方向から研究に取り組みます。連携強化では、県内4地区にある特別支援教育ネットワークを活用して、学校種や地域ごとのニーズを把握します。理解促進については、広域な学区をカバーする特別支援学校に、居住地を離れて通学する児童生徒が、多数在籍する点に着目しました。小学部1年生から高等部3年生まで特別支援学校に在籍した場合、12年もの間、居住地を離れて学校生活を送ることになります。その間に「地域の一員」としての存在感が薄れてしまうことから、本県では、居住地の小中学校に「交流籍」と命名した、副次的な籍を置く制度をスタートしました。この交流籍を活用し、小中学校で交流を重ねることにより、地域の一員としての理解促進を目指します。本研究では、この取組の継続や拡充に向けて、交流の実態や課題を明らかにしてまいります。

 

今回、新たな一歩を踏み出す機会をいただき、我々、特別支援教育に携わる教職員は、子どもたちに謙虚な気持ちで向き合い、適切な指導と必要な支援を提供すること、そして、共生社会の基盤をより盤石なものへと推し進めるという気概をもって、職務に取り組んでまいります。

 

結びになりますが、各校の研究を支えるにとどまらず、ひいては本県が掲げる「有徳の人づくり」のために御尽力くださるはごろも教育研究奨励会の益々のご発展を祈念申し上げ、お礼の言葉といたします。